18歳未満の方は閲覧できません

このサイトは成人向けの性の健康の情報と、商品の紹介を含みます。

18歳未満です(退出)
オナニーの達人 仙人がやさしく教える、からだの練習帳

当サイトはアフィリエイト広告(PR)を利用しています。紹介している商品のリンクから購入されると、運営者に報酬が支払われることがあります。医療の診断に代わるものではありません。

← コラム一覧

オナニーをする動物たち ― サルの外にも広がる「ひとりの行動」

⏱ 読む時間の目安:約8分

自分で自分の性器をさわる行動(自慰)は、人間だけの特別な行動だと思われがちです。ところが、動物の行動の研究(動物行動学)の記録をたどると、サルやチンパンジーの仲間の外でも、いろいろな動物で報告されています。リス、ウマ、イルカやクジラ、セイウチ、そして南極のペンギンまで。このコラムでは、論文や信頼できる観察記録で確かめられた例だけを取り上げます。そして、「なぜするのか」をめぐる研究者たちの議論を、編集部なりにやさしく紹介します。

まずは霊長類について、ひと言だけ

自慰の研究がいちばん進んでいるのは、ヒトをふくむサルの仲間(霊長類)です。たくさんの種の記録を集めて、進化の道すじといくつかの考え(仮説)を、生き物の家系図をもとに(系統的に)調べた研究があります。これはシリーズ1本目「霊長類のオナニー、その進化の物語」でくわしく紹介しました。ここでは、サルの仲間の外に目を向けてみます。

ナミビアのリス:交尾のあとに多い自慰

サルの仲間以外で、自慰の理由をいちばんていねいに確かめたのが、アフリカ南部ナミビアにすむケープアラゲジリスの野外研究です。この種のメスは、交尾を受け入れる時間(発情)がわずか3時間ほどしかありません。そのあいだに、最大10頭のオスと交尾します。一頭ずつに印をつけて観察したところ、オスの自慰はメスが発情した日に多く、しかもほとんどが交尾のあとでした。さらに、交尾のチャンスが多い強い立場のオスほど、多く見られました。交尾できない立場の低いオスが「はけ口」にしている様子は、見られなかったといいます。著者は、交尾のあとに性器を清潔にする「手入れ」として働き、性行為でうつる病気(性感染症)にかかる危険を減らしているのかもしれない、と考えました(Waterman, 2010)。

分かったのは、「いつ、どのオスに多いか」という行動のパターンです。病気が実際に減るかどうかは測られていません。また、一つの地域の一つの集団の結果である点も、限界です。

ウマ:止めようとすると、かえって困ったことに

子どもを残すために飼われるウマのオス(種馬)は、自然に勃起したり、自慰をしたりします。これは、乗馬や子馬を産ませる現場(繁殖の現場)で、長く「悪いくせ」とみなされてきました。罰で止めようとする管理も、珍しくなかったそうです。これを実験で確かめたのが、米国ペンシルベニア大学の研究です。この行動は、起きているウマで、およそ90分おきにふつうに見られます。罰でくせをしつける方法(条件づけ)を使っても、止めたい行動そのものは減りませんでした。一方で、子づくりの場面では興奮するまでに時間がかかるようになり、精液の量や精子の総数も少なくなっていました(McDonnell & Hinze, 2005)。調べたのは十数頭のポニーの種馬で、飼育施設での実験である点には注意が要ります。

では、人の手が入らない環境ではどうでしょう。スペインの山地で、管理されずに自由に暮らすポトカ(バスク地方のポニー)を観察した研究があります。勃起や自慰が49回記録されました。その前後で興奮が高まったり、ほかのウマへの攻撃が増えたりする様子は、見られませんでした。4割近くは、ほかのオスのすぐ近くで起きていました(Grillaert, 2022)。観察した回数は多くないです。それでも、「飼われる不自然さが生んだ異常な行動」という昔の見方に、疑問を投げかける結果です。

海の仲間:イルカ、クジラ、そして遊具を使うセイウチ

クジラやイルカの仲間では、子づくりにつながらない性的な行動が、今いる87種のうち35種で記録されています。その中には、水槽の壁や海の中の物に体をこすりつける自慰もふくまれます。歯のあるクジラ(ハクジラ)と、ひげのあるクジラ(ヒゲクジラ)の両方で報告があります。オスの記録が多いのは、見て分かりやすいためと考えられていて、メスの例も知られています。ハンドウイルカのメスが、壁や物、水の流れを使うという話もあります。ただ、その多くは飼育施設の人からの聞き取りにとどまります(Ham ら, 2023)。著者たちは、研究の少ない種ほど記録がないことから、実際にはもっと多くの種に広がっているだろう、と見ています。

物を使う例として、はっきり数えられた記録があるのが、米国の水族館で暮らすオスのタイヘイヨウセイウチです。2013〜2014年の3か月の映像を調べた研究があります。このオスは、メスとの関わりのほかに、自分で刺激する行動や、輪っかの形の遊具を使う行動を見せていました。この遊具は、飼われている環境を豊かにするためのものです。ただし、その回数は、メスへの働きかけよりずっと少なかったといいます(McCord ら, 2016)。人に飼われている1頭だけ(飼育下)の記録なので、野生のセイウチ全体に当てはまるかは分からないです。

南極のペンギン:100年眠っていた観察ノート

1911年、南極のアデア岬で、英国の探検隊の医師レビックが、アデリーペンギンの大きな群れを観察しました。そして、相手が見つからないオスが、一羽で交尾の姿勢と動きをくり返す様子を書き残しました。ところがこの記録は、当時の感覚では刺激が強すぎるとして、「公表しない」扱いにされました。ロンドン自然史博物館で再発見され、論文として世に出たのは2012年のことです(Russell ら, 2012)。紹介した研究者たちは、レビックの観察は正確で、今の行動の研究の知識で説明できるものだ、と評価しています。一方で、レビック自身はこうした行動を、道徳的に「堕落」と書いています。観察する人の価値観が記録ににじむことを、教えてくれる例でもあります。

なぜするのか:主な仮説

自慰の役割については、主に次のような説が出されています。

最後の説をとなえたドイツの研究者たちは、これまでの考えが、主にサルとリスの観察から作られ、しかもオスにかたよっていると指摘しました。そのうえで、こう提案しています。自慰がこれほど多くの動物に広がっているのは、それ自体が心地よく、くり返したくなる行動だから。そう考えるほうが自然ではないか、と(Roth ら, 2022)。これは新しいデータを示した研究ではなく、考え方の提案である点は押さえておきたいところです。

どれか一つが正解というより、動物の種類や暮らし方によって、いくつかの理由が重なっている。そう考える研究者が多い印象です。

飼育下と野生の違い、そして観察の難しさ

動物の自慰の記録は、水族館や動物園、牧場など、人がそばで長く見ていられる場所にかたよりがちです。野生の動物は遠くにいます。水の中や夜の行動は見えにくく、たまたま見かけた一回きりの話(逸話)として残ることも少なくないです。また、何を「自慰」と呼ぶかも研究者によって少しずつ違い、観察する人の受けとり方(解釈)が入りこみます。「記録がない動物はしない」とは言えません。「まだ見つかっていないだけ」の可能性が大きいことを、頭の片すみに置いておきましょう。

「自然だから正しい」とは言えないこと

ここまで読むと、「動物もしているのだから、人間のオナニーも正しい」と言いたくなるかもしれません。ただ、「自然界にある」から「よいことだ」を導く考え方は、「自然だから正しい」と思いこむ落とし穴(自然主義の誤謬)です。実際、先ほどのペンギンの記録には、人の社会なら決して許されない行動も並んでいます。動物の例が教えてくれるのは、自慰が「多くの動物に見られる、ありふれた行動の一つ」だという事実までです。よいか悪いかを決めるのは、人間それぞれの価値観と、ほかの人を傷つけないという約束事のほうです。そのうえで、「自慰は異常なこと」「体に悪いこと」という昔ながらの思い込みを見直す材料としては、動物たちの記録はとても心強いものだと、編集部は考えています。

ヒトへのヒント:ウマの研究では、自然な行動を罰で止めようとしても行動は減らず、かえって別の面に影が出ていました。人間にそのまま当てはめることはできないです。それでも、自分の性について「いけないこと」と責めすぎていないか、ときどき振り返ってみるのもよいかもしれません。するかしないか、どのくらいの回数かに正解はありません。自分が心地よく、暮らしが回っているなら、それがあなたにとってのちょうどよさです。

参考にした資料

📜 オナニー道の心得📓 記録アプリ「修行帳」