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アナルのしくみと始め方 ― 男女どちらにも、安全に心地よく

⏱ 読む時間の目安:約12分

「アナルは男性の前立腺のためのもの」と思われがちですが、おしりの入り口は、男女どちらにとっても感覚の多い場所です。このコラムでは、しくみを医学の資料で確かめ、研究で分かっていることと、経験者の話を分けて整理します。そのうえで、ひとりで始める手順と、やめる目安・受診の目安をまとめます。試さなくても、何も感じなくても、まったくふつうのことです。

しくみ①:2つの輪の筋肉と、感じやすい入り口

肛門から奥へ、長さ2.5〜4cmほどの短い通り道(肛門管)があり、そのまわりを2つの輪の筋肉(肛門括約筋)が囲んでいます(Ahmed ら, StatPearls)。

内側の輪は、何かが入ってくると反射で閉じます。ただ、コンタクトレンズを入れる時にまばたきをこらえられるようになるのと同じで、少しずつ慣らしてゆるめられる、とイギリスの公的医療(NHS)の性の治療チームは説明しています(Sex Therapy London)。

感じ方は、場所で違います。通り道の入り口側3分の1ほどは、皮ふと同じ種類の神経(陰部神経の枝)が来ていて、痛み・温度・触れた感じにとても敏感です。それより奥は、触れた感じより、広がる・押される感じをとらえます(Ahmed ら, StatPearls)。入り口のまわりや、そのすぐ内側が心地よさの中心になりやすいのは、このためと考えられます。

アナルのしくみ横から見た模式図(左がおなか側)。入り口に2つの輪があります男性女性前立腺腟直腸直腸内側の輪:自分では動かせない(内肛門括約筋)外側の輪:自分でゆるめられる(外肛門括約筋)
医学の資料をもとに単純化した図です。直腸は背中側へ曲がっているので、奥へまっすぐ押しこまないようにしましょう。内側の輪は、急がず待つとゆるんできます。

しくみ②:直腸の向きと、前立腺・腟との位置関係

肛門まわりの神経は、高まりや絶頂の時に性器と一緒に縮む筋肉の働きにも関わっている、と研究者は説明しています(Hensel ら, 2022)。

研究で分かっていること:経験の割合・心地よさ・痛み

アメリカの18歳以上の男女2,021人の全国調査では、肛門での性行為をしたことがある人は、男性(入れる側)43%、女性(受ける側)37%でした(Herbenick ら, 2017)。指や道具、舌も含めて「肛門に受け入れたことがある」かを聞いたネット調査(学会発表、男性489人・女性501人)では、男性24%、女性34%でした。経験者のうち、それだけで絶頂したことがある人は男性38.5%、女性18.6%でした(Walton ら, 2022)。心地よい場所として選ばれたのは、奥(14.6%)より入り口に近い浅い所(39%)、背中側(28.3%)よりおなか側(36.6%)が多くなっていました。日本の全国調査で、肛門でのふれあいを男女別に聞いた数字は、今回の検索では見つかりませんでした。

女性については、アメリカの18〜93歳の女性3,017人の全国調査があります(Hensel ら, 2022)。

肛門へのふれあいを心地よいと感じたことがある女性そう答えた人の割合(複数回答)なんらかの形で43.5%入り口の外側へのふれあい40.3%内側へのふれあい34.6%
出典:Hensel ら(2022)。アメリカの女性3,017人への調査(複数回答)。本人が答えた調査で、心地よくないと感じるのもふつうのことです。

この調査は、女性の心地よさを伝えるサイト(OMGYES)の研究チームが関わっています。

痛み(肛門性交痛)の研究もあります。クロアチアの18〜30歳の女性2,002人のネット調査では、経験者の48.8%が、初めての時に痛みや不快感で途中でやめていました。毎回強い痛みがある人は8.7%で、自分で考える原因でいちばん多かったのは「力を抜けないこと」でした(Štulhofer ら, 2011)。男性同士で性行為をする男性404人の調査では14%に、くり返す強い痛みがありました(Damon ら, 2005)。痛みは「がまんするもの」ではなく、やり方や体の状態を見直すサインです。

始める前の準備

ひとりで始める手順(男女共通)

研究で確かめられた「正しい手順」ではなく、医療機関の資料をもとにした一例です。数字は始める時の目安です。

合わない時は1つずつ変えます。力が入ったら指を止めて息を吐き直す。ひりひりしたら潤滑剤を足す。何も感じない時は、外側に戻るか、もう片方の手で前の刺激を加える。鋭い痛みが出たら、その日は終わりにします。

ひとりで始める流れどの段階でも「今日はここまで」「しない」を選べます1準備トイレ・シャワー・爪・手袋・潤滑剤をたっぷり2外側に触れる入り口のまわりを指の腹でなでて、力を抜く3息を吐きながら指先だけ押しこまず、入り口の内側に触れて待つ4少しずつ・おなか側へ慣れたら少し奥へ。男性は前立腺、女性は腟側の壁5組み合わせる性器やクリトリスへの刺激と一緒に6終わったら手・道具を洗う。肛門に触れた指は、洗うまで腟に触れない
痛みや出血があれば、その場でやめましょう。道具は根元にストッパーがあるものだけ、小さいものから。

男性・女性それぞれの組み合わせと、道具の選び方

パートナーと試す時(男女カップルの場合)

経験者のあいだでよく語られる工夫

ここからは研究ではなく、日本語と英語の体験記事で、複数の書き手が共通して挙げていた工夫です。

体験記事には、毎回の腸内洗浄や、市販の浣腸薬、シャワーを直接当てる洗い方をすすめるものもあります。医療機関は勧めていないので、ここでは避けましょう。

やめる目安と、受診の目安

修行のお題 次のひとり時間は、中には入れず、潤滑剤をつけた指で入り口の外側だけに5分触れてみましょう。なでる・円をえがく・押して離す、の3つを1分ずつ試し、「心地よい・何も感じない・合わない」のどれに近かったかをメモします。何も感じなくても、それも大事な記録です。

アナルで必ず心地よくなる、ほかの絶頂より強い、といった研究の裏付けはありません。痛み・出血があるときは中止してください。痔や切れ痔がある方、おしりや前立腺の手術を受けた方、血をさらさらにする薬を飲んでいる方は、先に主治医に相談しましょう。

参考にした資料

📜 オナニー道の心得📓 記録アプリ「修行帳」