胸で感じる一人時間 ― いわゆる「チクニー」の基本
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乳首や胸に触れて心地よさを味わう一人時間は、ネットでは「チクニー」と呼ばれています。このページでは、それを「乳首でのセルフプレジャー」と呼び、男性にも女性にも向けて、胸のしくみ、研究で分かっていること、触れ方の手順、気をつけたいことを順番にまとめます。胸への刺激が合うかどうかは人によって大きく違います。感じなくても、それはふつうのことです。
胸のしくみ:乳首・乳輪と神経
胸の先の出っぱりが乳首(乳頭)、そのまわりの色のついた丸い部分が乳輪です。男性にも女性にも、同じ形で備わっています。女性は乳首の下に母乳をつくる組織(乳腺)が大きく育ちますが、男性にも乳首と乳輪、その下の小さな乳腺があります。
乳首と乳輪には、胸の横や前を通る神経の枝が集まっています。遺体の乳房15例(女性12、男性3)を調べた研究では、女性の乳房には2番目から6番目の、あばら骨の間を走る神経(肋間神経)の枝が届いていました。なかでも4番目の神経の枝は、女性12例すべてで乳輪の下の神経の集まりまで届いていました。どの神経がどれだけ加わるかは人によって違い、同じ人の左右でも違っていました(Sarhadi ら, 1996)。左右で感じ方が違う人がいるのも、自然なことです。
寒い時や触れた時に乳首が硬く立つのは、乳輪の皮ふの下にある小さな筋肉が縮むためです。立ったからといって、高まっているとは限りません。
研究で分かっていること
アメリカの大学生301人(男性148人・女性153人、主に18〜22歳)に、性的な場面での乳首や胸への刺激について聞いた調査があります(Levin, Meston, 2006)。
- 乳首や胸への刺激で「高まった、または高まりが強まった」:女性81.5%、男性51.7%
- すでに高まっている時に、その刺激でさらに高まった:女性78.2%、男性39%
- 相手に乳首への刺激を頼んだことがある:女性59.1%、男性17.1%
- その刺激で高まりが「下がった」:女性7.2%、男性7.5%
脳の反応を調べた研究もあります。健康な女性11人(23〜56歳)が自分で乳首に触れた時の脳を、MRIで見ました。すると、胸の感覚を受け持つ場所だけでなく、性器の感覚を受け持つ場所も反応していました(Komisaruk ら, 2011)。研究者は、これが乳首への刺激を性的に心地よいと感じる人がいることの、神経の面での手がかりになると述べています。同じ研究グループは、健康な男性21人でも調べ、男性でも乳首が性器と同じ感覚の場所に対応していると報告しました(Komisaruk ら, 2020)。
これらの研究で分かること:乳首への刺激で高まる人は、女性では多く、男性でも約半数いること。乳首と性器の感覚が、脳の近い場所で受け取られていること。限界:調査は若い大学生への1回きりのアンケートで、パートナーとの場面の答えです。脳の研究は人数が少なく、「脳が反応した」ことは「誰でも同じように感じる」ことを意味しません。
始める前の準備
- 爪:乳首と乳輪の皮ふは薄いので、爪は短く切り、やすりで角を丸める。手を洗う
- 服の上から始める:最初は薄手のTシャツやキャミソールの上から触れる。布が一枚あると刺激がやわらぎ、くすぐったさも出にくい
- すべりをよくする:直接触れる時は、指先に水溶性のローションを1〜2滴、または肌用のマッサージオイルを少しつける。乾いた指で何度もこすると、ひりひりしやすい。途中で指が引っかかると感じたら、そのつど足す
- 性器にも触れる日:同じ手で性器にも触れるなら、ローションは性器にも使えると書かれた専用のものにする。オイルやクリームを使った手は、一度拭いてから性器へ
- 姿勢:あお向けで枕を背中に入れ、上半身を少し起こすと、両手が胸に届きやすく腕も疲れにくい
始める前に、胸全体を手のひらで1〜2分なでておきます。いきなり乳首に触れず、まわりから近づくのが基本です。
触れ方の基本:5つの型
強さは3段階で考えます。「軽い」は皮ふの表面をすべる程度、「中くらい」は皮ふごと少し動く程度、「しっかり」は指が少し沈む程度です。どの型も「軽い」と、ゆっくりの速さから始め、1つの型は少なくとも1〜2分続けてから良し悪しを決めます。数秒で切り替えると、体が反応する前に終わってしまいます。
- 乳輪のまわりに円をえがく:場所は乳輪のふち(色の境目)。人さし指か中指の腹1本で、ふちをなぞるように円をえがく。向きは時計回りでも反対でもよい。強さは「軽い」、速さは1周に2〜3秒。1〜2分続け、心地よければ円を少しずつ小さくして乳首に近づける。くすぐったい時は、指を2本そろえて圧を少しだけ上げるか、服の上に戻る
- 指の腹で先を軽くなでる:場所は乳首の先。人さし指の腹で、上下か左右に数mmだけ、表面をかすめるようになでる。強さは「軽い」だけ、速さは1秒に1〜2回。30秒〜1分続けたら、乳輪の円に戻る。痛い、ひりひりする時はローションを足すか、布越しにする
- 軽くたたく:場所は乳首の先から乳輪。中指の腹1本か、人さし指・中指・薬指の3本の腹をそろえ、真上からとんとんと当てては離す。強さは「軽い」だけ、速さは1秒に2〜3回。30秒〜1分試し、響きすぎる時はたたく場所を乳輪の外側へずらす
- 指ではさむ:場所は乳首の根元。親指と人さし指の腹で、爪を立てずに軽くはさみ、3秒ほど保ってから2秒ゆるめる。慣れたら、はさんだまま指先を小さく前後に転がす。強さは「軽い」から「中くらい」まで。ひねる、引っぱる動きは入れない。1分ほど続け、痛い時は力を半分にするか、はさむ場所を乳輪ごと広くする
- 手のひらで包む:場所は胸全体。手のひらのくぼみに乳首が当たるように包み、軽く押したまま小さな円をえがくか、上下に1〜2cm揺らす。強さは「中くらい」、速さは1秒に1回。2〜3分続けられる。刺激が広く散るので、直接が強すぎる人や、始めと終わりに向く
片方の胸だけでなく、左右で同じ型を試して比べてみてください。両手で左右を同時に、または交互に触れる形もあります。どの型でも、痛い、ひりひりする、何も感じなくなってきた時は、強さを一段下げるか、乳輪のまわりや手のひらで包む型に戻ります。
男性と女性で違うところ
男性の場合
- 乳首も乳輪も小さく、下のふくらみも少ないので、指先の型が中心になる。手のひらで包む型は、手のひらのつけ根で胸の筋肉ごと小さく揺らす形にするとよい
- 胸毛がある人は、毛が引っぱられないよう、ローションを多めにし、毛の流れに沿ってなでる
- 先ほどの調査では、乳首への刺激で高まった男性は約半数でした(Levin, Meston, 2006)。何も感じない、くすぐったいだけ、という人も少なくありません。それはふつうのことです
女性の場合
- 乳房全体を手のひらで包む・下から支えるように持ち上げる、といった広い触れ方から始めやすい
- 月経の前など、時期によって胸が張って、触れると痛む人がいる。痛む時期は「手のひらで包む」だけにするか、その日は胸を休ませる
- 授乳中は乳首が傷つきやすく、刺激で母乳が出ることもある。気になる時は、産科や助産師に相談する
性器への刺激と組み合わせる
胸への刺激だけで高まりきる人もいれば、性器への刺激と一緒の時に心地よさが増すという人もいます。組み合わせる時の手順の一例です。
- 最初の3〜5分は、胸だけに触れる。服の上から始め、乳輪の円、先をなでる、と進める
- 利き手を性器へ移し、反対の手は胸に残す。胸の手は、いちばん心地よかった型を1つ選び、強さも速さも変えずに続ける
- 性器の手をいったん止め、胸の手だけで30秒〜1分続ける。これを何度かくり返し、胸だけの時にどう感じるかを確かめる
- 高まってきたら、胸の手は「手のひらで包む」に替えて、そのまま続ける。最後まで強くつままない
性器への触れ方は、男性は男性編の第7章、女性は女性編の第7章にまとめています。
経験者のあいだでよく語られる工夫
ここからは研究ではなく、日本語と英語の体験記事やガイドで、いくつもの書き手が共通して挙げていた工夫です。合うかどうかは、試して確かめてください。
- 布越しから直接へ:服の上、薄い布の上、直接、と間にあるものを1枚ずつ減らしていく。布越しのほうが好き、という声も多い
- まわりから中心へ:胸全体、乳輪、乳首の順に、少しずつ中心へ近づける。いきなり乳首をつまむより、なじみやすいという声が多い
- 力は軽く:強くつまむより、表面をかすめるような軽い触れ方のほうが感じやすかった、という話がくり返し出てくる
- 感触を変える:すべりのよい布(シルクなど)を指と胸の間にはさむ、やわらかい筆でなでる、オイルで指のすべりを変える。自分の指だと分かりにくくなる、という工夫
- 意識を胸に向ける:性器への刺激と一緒に行いながら、心地よさを胸で受け取るつもりで注意を向ける。短い時間、胸の感覚に注意を向けるだけの練習をすすめる人もいる
- 休みを入れて、日を重ねる:何回か続けるうちに感じ方が変わってきた、という体験談は多い。ただし「〇日で感じるようになる」といった研究の裏付けはなく、変わらない人もいる
体験記事の中には、強くひねる、引っぱる、洗濯ばさみなどで挟み続ける、爪を立てる、布団に押しつけてこする、といった方法も見かけます。傷やただれのもとになるので、この道では避けましょう。
気をつけたいこと・受診の目安
- こすれ・ひりひり・傷:乳首の皮ふは薄く、乾いたままこすり続けると赤くなったり、切れたりする。ひりひりしたら、その日は触れない。傷がある時は治るまで休む
- 強くつまむ・長く締めつけない:クリップなどで長時間はさむと、血の流れが悪くなり、しびれや傷のもとになる。指ではさむ時も、数秒でゆるめる
- 乳首からの分泌物:乳首への刺激のあと、乳首の複数の穴から乳のような液が出ることがあり、多くは心配いらず自然に治まる。ただし、止まらず続く、乳のようでない液や血が混じる、1つの穴からだけ出る、しこりがある時は受診を(Mayo Clinic)
- しこり・ただれ・形の変化:乳房のしこり、血の混じった分泌物、乳首や乳輪の治りにくい湿疹やただれ、新しく出たくぼみや左右差は、良性のことも多いものの、見ただけでは区別できないので、早めに受診する(日本乳癌学会)。女性は乳腺外科か婦人科、男性は乳腺外科か泌尿器科へ
- 男性も乳がんになる:乳がんの患者さんの約150人に1人は男性で、乳輪や乳首の近くにできることが多いとされます(日本乳癌学会)。男性の乳首の下に硬いしこりやふくらみを見つけたら、乳腺外科へ
- 妊娠中:乳首や胸への刺激で子宮が収縮することが知られていて、陣痛を促す方法として研究されてきました(Kavanagh ら, 2005)。早産になりかけている(切迫早産)と言われた人は、乳首への刺激で早産が進むことがあるため、控えるよう案内している病院もあります(水戸済生会総合病院)。妊娠中は、胸への刺激を続けてよいか、主治医に相談してください
修行のお題 次の一人時間で、服の上から「乳輪のまわりに円をえがく」を2分、次に直接、ローションをつけて同じ型を2分試してみましょう。左右それぞれで、「心地よい・ふつう・合わない」の3段階でメモを1行残してくださいね。
痛み、傷、ただれ、出血が出たら、その場でやめてください。乳首からの血の混じった分泌物、しこり、治りにくい湿疹、形の変化に気づいたら、刺激で様子を見ずに医療機関で相談しましょう。妊娠中の人は、主治医の判断を優先してください。
参考にした資料
- Levin R, Meston C(2006)Nipple/Breast Stimulation and Sexual Arousal in Young Men and Women. Journal of Sexual Medicine
- Komisaruk BR, Wise N, Frangos E, Liu WC, Allen K, Brody S(2011)Women's clitoris, vagina, and cervix mapped on the sensory cortex: fMRI evidence. Journal of Sexual Medicine, 8(10):2822–2830
- Komisaruk BR, Frangos E, Wise N, Allen K(2020)Male Urogenital System Mapped Onto the Sensory Cortex: Functional Magnetic Resonance Imaging Evidence. Journal of Sexual Medicine, 17(4):603–613
- Sarhadi NS, Shaw Dunn J, Lee FD, Soutar DS(1996)An anatomical study of the nerve supply of the breast, including the nipple and areola. British Journal of Plastic Surgery, 49(3):156–164
- Kavanagh J, Kelly AJ ほか(2005)Breast stimulation for cervical ripening and induction of labour. Cochrane Database of Systematic Reviews
- 水戸済生会総合病院「助産師が教えるおっぱいケア」
- Galactorrhea: Symptoms and causes(Mayo Clinic)
- 日本乳癌学会「患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版」Q4 乳房の症状,病気にはどのようなものがありますか
- 日本乳癌学会「患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版」Q56 男性乳がんと診断されました。治療法について教えてください