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第2章 はじめる前の準備 ― 時間・場所・清潔・ローション

⏱ 読む時間の目安:約4分

お茶の道でも、お湯をわかし、道具をととのえるところから始まりますよね。この道も同じなんですよ。準備をていねいにすると、からだも心も自然とほどけていきます。入門の二歩目、一緒にととのえていきましょう。

時間と場所:「急がなくていい」状況をつくる

第1章でお話ししたとおり、勃起はリラックスの神経と相性がよいものです。人が来るかもしれない、時間がない。そんなことを気にしながらだと、からだは緊張のほうに傾きやすくなります。

「早く終わらせなきゃ」という習慣には、注意がいります。パートナーとの時間にも持ちこしてしまうと、自分でタイミングを選びにくくなる原因のひとつになることがあります。ひとりの時間こそ、ゆったり使ってみてくださいね。

リラックス:からだを「受け取るモード」に

始める前に、ゆっくり息を吐く呼吸を数回してみましょう。鼻から4つ数えて吸い、口から6〜8つ数えて細く吐く。これくらいの目安で十分です。肩やおなか、太もも、お尻に、よけいな力が入っていないかも、上から順に確かめていきます。ぬるめのお風呂やシャワーのあとは、からだが温まって力がゆるみやすくなります。なので、よい時間帯なんですよ。

手と道具の清潔

陰茎の皮ふや、先の部分(亀頭)は、とてもデリケートです。次のことを習慣にしてみてください。

道具の素材によって、洗い方は変わります。シリコーンのように、表面に細かい穴がない素材があります。こちらは、ぬるま湯と刺激の少ないせっけんで洗いやすいです。一方、TPEなど、やわらかくて細かい穴のある素材もあります。こちらは、汚れや菌が残りやすいとされています。どちらも、ぬるま湯で洗ってから、風通しのよい所で完全に乾かすのが基本です。乾いたら、ほかの道具とくっつかないようにしましょう。ひとつずつ布の袋などに分けて、しまっておくと安心です。道具の細かな選び方は第5章でお話ししますね。

ローション:摩擦を減らす、いちばん手軽な味方

乾いた手でこすると、こすれて皮ふがすれたり、ひりひりしたりしやすくなります。医療機関の解説でも、強い刺激はすり傷や、一時的な腫れの原因になることがあるとされています。そこで役に立つのが、すべりをよくする液(潤滑剤、ローション)です。米国の全国調査では、大人の男性の約7割が、市販の潤滑剤を使ったことがありました。ひとりでの自慰でもよく使われていて、使う理由で多かったのは「快適にするため」でした(Reece ら, 2014)。これは米国のオンライン調査です。日本の男性にそのまま当てはまるとは限りません。でも、特別なものではない、ということは伝わりますよね。

主な種類と特徴は次のとおりです。

もうひとつ知っておきたいのが「濃さ(浸透圧)」です。市販の潤滑剤を調べた実験があります。とても濃い水性ジェルでは、実験用に育てた細胞や組織が傷みました。一方、体液に近い濃さのものや、シリコーン性のものでは、目立った変化はありませんでした(Dezzutti ら, 2012)。これは主に、腟や直腸の、しめった薄い皮ふ(粘膜)を想定した実験室での結果です。陰茎の皮ふに同じことが起こると確かめたものではありません。それでも、しみる・赤くなるなどを感じたら、別の製品に替える目安にはなります。

初めてのローションは、腕の内側などに少しつけて、しばらく様子を見てから使うと安心です。かゆみ、赤み、痛みが出たら使うのをやめてください。続くときは、皮膚科や泌尿器科に相談してください。

量は「少し多いかな」くらいから始めて、乾いてきたら足せばいいんです。すべりを味方にすると、強く握らなくても十分に感じられることに、きっと気づけますよ。

修行のお題 次の1回は「準備だけで5分」を使ってみましょう。手を洗う、部屋をととのえる、吐く息を長くする呼吸を5回。終わったら、準備をしなかった日と比べて、始めたときの力の入り方がどう違ったか、1行だけ振り返ってみてくださいね。

参考にした資料

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